「Mysterious Lake」
- 2015/03/09
- Category: JP
1ヶ月間ブログを更新できませんでした。本当に色々とあって、その時々の感情・感覚を書きとめておきたかったのですが、時間と状況と体力、精神力との勝負といった感じで、全く余裕がありませんでした。感覚を忘れないためにも、大変な時ほど何かしら書き留めておければとも思うのですが、なかなかに難しいです。
先月26日より、3月7日まで「Mysterious Lake」の人形達の第一回納期と調整と、龍頭 制作で、初渡米しました。初めてのアメリカということで、色々とドキドキしていたのですが、出発ギリギリまで仕事があり、ガイドブック的なものを何一つ見ることなく旅立ちました。
「Mysterious Lake 」は、アメリカ在住16年の演出家・芦沢いずみさんオリジナル戯曲です。いずみさんは、アメリカの名門中の名門大学Yale University School of Dramaを修了され、現在は、ニューヨーク州立Stony Brook大学にて教鞭をとられています。(詳しいプロフィールはこちらから>web)また、ご自身のカンパニーもあり活動されています。(>web)アメリカ、ヨーロッパ、イラン(これには驚きました。>web)など世界をまたにかけ演出をされています。
今回は、初めて日本人の演出家さんとのお仕事ということもあってドキドキでした。といっても、16年も在米のいずみさん。日本人といっていいものか、アメリカ人といっていいものか、両面お持ちだと思いました。メールでのやりとりは、いずみさんが英文のメールを書いてきて、私が日本語で返すといった(最初のうちは慣れない英語で返していましたが、、)不思議なやりとりでした。
秋頃スクリプトを頂き、アイデア出しをしつつ12月頃から作り始め、1月のアンネの納期が終わってからは、本当にもう、ヒャー!なペースで製作しました。アンネの人形はだいたい150センチの等身大だったのですが、「Mysterious Lake 」に登場する少年や妖怪達も、だいたいが等身大。子供とはいえ90~100センチぐらいだったので、結構大きいサイズだったということと、登場人物が多いこと、動きのシステムが、妖怪ということもあって各人形違うので、色々と試しては失敗!みたいなこともあって、結構な戦いでした。(現在進行形なので、戦い中です)
かなりバタバタな感じでのアメリカ行きだったのですが、初めて垣間見たアメリカは本当に興味深かったです。安全を考慮された作りのトイレ。誰かが入っているかわかるように、足元や頭上が見えるかんじな作りのドア。閉めきることができないトイレの鍵。強く押せば開く感じ。いたるところに掲げてあるアメリカ国旗などなど。といっても、マンハッタンはほぼ素通りだったので、ニューヨークは何も見てないに等しいのです。唯一の思い出は、「planet smoothie」というスムージー屋さんで、MEDITERRANEAN MONSTERという、どう発音していいかわからない、でもかなりおいしかったスムージーを買ったことぐらいです。しかもSサイズを頼んだのに、なんか一番大きなカップにしてくれて、(日本で見たことないようなXXXL?みたいなサイズで、サービスなのか、ただ作りすぎてしまったからなのか…)ニューヨークの印象はなんかいい感じで始まりました。さらに、そのお店では自分でカップにソフトクリームをいれてトッピングをいれて、みたいなコーナーもあって、そのソフトクリームがニューと出る機械が7台ぐらい列になっていて、冬なのに(冬だから?)女性のお客さんがひっきりなしに、アメリカンサイズのカップ(本当にドデカイ!)にニューとソフトクリームをいれてナッツやチョコレートなどのトッピングをしこたまいれて、食べる場所もなかったので、食べ歩きしながらそのまま街へ去っていく、、、みたいな、私が勝手に想像しているザ・アメリカ!みたいなシーンも見ることができました。4月にもう一度渡米予定で、その時は、マンハッタンを見れる時間を作っているので、本当に楽しみです。
滞在期間中は全日、マンハッタンから電車で2時間ぐらいのStony Brookに滞在していました。ニューヨーク州なのですが、田舎町?というか、森の中に学園都市が広がっているような不思議な所でした。
今回のアメリカ滞在での一番の目的は、もちろん人形を納め修理調整することもですが、大きな龍頭を作ることでした。一人で作るというサイズでは最大であることと、慣れない環境で作業の難しさや、道具等も不足するのでは…と、プラハにいる時から色々と想像できなくて、かなり不安でした。
最初の躓きは、材料でした。材料等は、アマゾン等でいずみさんがそろえていてくれたのですが、一番の問題はインチーセンチメートルのギャップでした。プラハから、ジョイントを木のブロックで作っていったのですが、全部サイズが違うのです。丸棒も直径2センチが欲しかったのですが、インチ表記だと0.74インチ(1.9センチ)と、微妙に違うので全部やりなおしたり、木工用ボンドの質も日本やヨーロッパのそれとはかなり違う感じだったり、(どう違うと言われると難しいのですが、アメリカの木工用ボンドは、粘着質があるかと思いきや液体質が強い感じで、貼り付けたあと間から結構たれてきて、さらには時間がたつとそのたれに粘着性が発生してきて、たれていた部分がつららみたいに固まったりみたいな。。。)Gボンド(ヨーロッパにもあります)的なものが見つからなかったりなどなど。結果的には素材を通して、国の違いを感じることができておもしろかったのですが、限られた時間で作らなければならなかったので大変でした。
滞在期間中、Stony Brookで唯一行けたのは、ホームセンターと布屋さん。それも、一回きり。。郊外型で車がないといけない感じでした。私が勝手にイメージするアメリカな感じの建物で、テンションは上がりました。ホームセンターは、どちらかといえば、日本よりヨーロッパの感じに似ているかなと思いました。(ホームセンターで買ったもので、家を建てられる感じ)じっくり見たかったのですが、時間がなかったので部分的にしか見られませんでした。布屋さんの特筆するべきところは、布がワイルドな感じで展示されているところです。私個人の経験では初めてのデイプレイで、考えてみればこっちのが、お客にとっては布のイメージが凄く伝わりやすく、雑然とした感じで清潔感は少々ないですが合理的な気がしました。
泊まった所は、大学にあるホテルといわれていたので、チェコ的な簡易なゲストルームを想像していたのですが、なんとHilton Garden Inn(Hiltonが始めた中級クラスのホテルとのことですが、チェコ的には4つ星クラス以上の素敵なホテルでした)でした。滞在中は、ホテルー劇場学部―ワン・センターの3箇所をグルグル回るといった感じでした。このワン・センターは、中国人卒業生のワンさんが出資して作った建物で、中にギャラリーやアジア系(中華、韓国、インド、日本―お寿司的な、鉄板系)の食堂がありました。このおかげもあって、アメリカの食事・ザ・ファーストフード!みたいなのは、嫌だなあーと思っていたのですが、かなり救われました。メニューも日ごと変わるので、私は色々と試したのですが、おもしろかったのは、まー、いずみさんが、毎日おいなりさんを食べていたことです。私も偏食がちですが、いずみさんは、毎日1食は必ずおいなりさんを食べられていて、凄い日は、昼・夜おいなりさんコースみたいなのもざらにありました。(まあ、影響の受け易い私は、滞在後半は、1食おいなりさんコースになっていましたが。。)こんなに、おいなりさんしか食べない人に出会ったのも初めてですし、その影響もあってか、だんだんと狐の化身(妖怪のお話を作っているので)にも見えてきたりもしました。
そんな、演出家いずみさん。
いずみさんは、私のイメージでは、狐の嫁入りの狐が化けた女性といった神秘的な感じもある一方、戦う女戦士アマゾネスといった両極面も持った感じの印象を受けました。まず日本人で、Yale大学の演出科を卒業できた人事態、いずみさん以外いないのではないかなあと思いますし、アメリカで女性一人で、演出家として演劇現場でバリバリやっている感じな方もそうはいないなあと思うのです。演出家ゾヤさんもですが、憧れる本当にかっこいい女性です。
アメリカ滞在中、朝から早朝までずっと一緒に仕事をしてくださり(作り物の手伝いをです。。)、演出家さんがこんなに手伝ってくれることも初めだったのですが、本当にずーーーーっと、よくテーマがなくならなかったなというぐらいお互いに話を沢山しました。その中で、いずみさんの経験談なんかを聞くと、もっと頑張れるなあ、頑張りたいな!というか、いいエネルギーを沢山もらった気がします。
また、人とこんなに長い間、集中的に話をすること事態、中高校生の頃、部活が一緒だった友人達と何をあんなに話していたのかわからないような感じの、とりとめとなく話し込んでいた時間に似た不思議な時間でした。アメリカ・チェコ・日本の話、演劇の話、妖怪とか、宮崎駿さんのアニメや、およそ人に話したことすらないのでは?といった具合の感覚的な感情の話や、「Mysterious Lake」の主人公が少年Danielということもあり、子供時代のかなり細かい部分の思い出話から現代までといった、、睡眠時間がかなり削られていたのですぐ寝るべきところも、ホテルに戻ってからもさらに話し込んでしまったりと、本当に濃いーーーー時間でした。
アメリカ来るまえに抱えていた、色んな感情を全部浄化された上に、モチベーションを上げられた感じになりました。
!!!
書いていて思ったのですが、これも演出家さんのなせる業なのかもしれません。
今の感情をどわーと書いてみたので、とりとめもない文章になってしまいました。まだまだ「Mysterious Lake」は、一山二山越えなければなりません。来週には、いずみさんがチェコに来るので、それまでに色々と仕上げなければです!!!ひゃー
写真1・「Mysterious Lake」の人形の一部
写真2・Stony Brookで見たカナダ雁、凄く大きくて綺麗でした!
写真3・布屋さんの感じ。雑然としていますが、布の感じは見やすいです。
写真4・龍頭作り途中
写真5・龍頭作り途中。。実質6日間で作りました。