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壁画「PipiとAstrid Lindgren」

ファイル 288-1.jpgファイル 288-5.jpgファイル 288-2.jpgファイル 288-3.jpgファイル 288-4.jpgここ数年、立て込んだ仕事が続き移動も多いので、目が覚めると自分がいったいどこにいるのだかわからなくなる感覚によくなります。先月、座・高円寺で再演があった「ゴーレム」の中で『おれは、いったいここで何をしているんだ』という台詞が繰り返し使われていたのですが、まさにそんな感じで。

一昨日まで、ポーランドはSlupskuにて壁画を描いていました。今年は、本当に沢山この街に来たなあといった感じで。片道14時間の移動は、何往復しても全く慣れませんでした。Slupskuは10万人規模のポーランドでは中都市。カソリック教徒が多いポーランドですが、市長がゲイであることを告白し、一躍有名になった街でもあります。街中には古い建造物も沢山残っていて綺麗ですが、この街の面白い特徴はとにかく教習車が多いことです。朝から晩まで外に出て見かけないことはないぐらい走っていて、私が現在泊っている劇場のゲスト用アパートから劇場まで、徒歩5分もかからないのですが、その間に調子がいいと(どんな調子だかよくわかりませんが…)10台ぐらい見かけたこともありました。とにかく書かずにはいられない、どうもいい特色です。

今年の秋、Slupskuでは、「長靴下のピピ」の作者であるAstrid Lindgrenの生誕110周年を祝うイベントが企画されていました。9月16日にTęcza人形劇場にて初演を迎えた「長靴下のピピ」をはじめ、イベントが盛りだくさんだったようです。その一環で、Astrid Lindgrenとピピをテーマに壁画の依頼があったわけです。スウェーデン人であるAstrid Lindgrenを、ポーランドのSlupskuで生誕を祝い、プラハに住む日本人が壁画を描くという、ちょっとカオスなプロジェクトではありましたが、人生で初めてこのような大きな絵を描かせてもらって楽しかったです。

描く前は普段大きくても図面として等身大サイズ。ポスターやイラストでは大きくてもB3ぐらいまでの絵しか描いてない私が、壁画なんて大丈夫かなという不安はかなりありましたが、実際の問題は大きさではなく、制作環境にありました。あきらかに、この企画事態、夏ものといいますか、バルト海に隣接したSlupskuで、1日中外で作業をしていると本当に寒いといいますか、さらには霧雨、小雨も降ったり、最終日は白い息まででました。体力はあるほうではありますが、毎日ヘロヘロというか、ボロボロでした。。(この時期になってしまったのは、私のスケジュールの問題だったので文句は言えないのですが…)最初は、3人ポーランド人のアシスタントについてもらったのですが、中盤からは自分のタッチで仕上げないなので、一人で朝から日暮れまで作業していて、さらには小雨が降っている寒い日なんかは、壁に向かいながら、『おれは、いったいここで何をしているんだ…』なんてゴーレム現象が起こっていました。

それでも、チェコ人より感情表現が大きいポーランド人。壁画制作中、道行く人、子供から大人(結構ロックな恰好した若者まで)、おじいちゃん、おばあちゃん、とにかくみんな、「凄く綺麗!」とか「凄くいい仕事だね!」とか「人形劇で見たピピだー!」とか感想を本当に大声で叫んでくれて。チョコレートを差し入れてくれたおばあちゃんもいたりして、凄く励まされました。

電車の遅れもあり15時間かけてSlupskuに到着後、そのまま現場に連れていかれ、クレーン車に乗せられて、プロジェクターで投影した絵を「はい!スプレーでなぞって!!」と言われた時は軽い眩暈が起きました。さらには、愚痴に思われると良くないですが、当初、壁画サイズは、高さ16メートル×横11メートルと言われていたのですが、なんとなく壁画は横長なイメージが強かった私は、縦、横の単語をあまり注意してみなくて、高さ11メートル×横16メートルと勘違いしてデザイン画を作成してしまいました。その後、オーガナイズサイドから「反対だよ!」と言われて、急遽デザイン画を再度修正して提出したのに、実際の現場にきたら言われていた壁のサイズが全くもって違い、むしろ最初に間違えたサイズでデザインしたものの方が壁にマッチするという不可思議な現象も起きました…。言われていたサイズよりも実際の壁のが、小さかったので私的には助かりましたし、まあ、ご愛敬かなと…。

が、それでも話がまとまってからのステップはいい意味でヨーロッパ的で早く、面白い企画に呼んでもらって感謝です。そして、この壁画を描いた場所も、図書館の壁でそんなところも嬉しかったです。コーディネーターのパワフルなオラ、アシスタントでついてくれた本当に女性3人衆カーシャ、エヴァ、カロリーナ、本当に感謝です!!

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写真・1 壁画完成(白い部分には後から、本の引用文章が入ります。)
写真・2 アップ部分
写真・3 デザイン画
写真・4 初日、、
写真・5 初日、、、(顔がもう白いです)